vol.42 人生卒業式の値段
と ある一人宅飲み中のウィークデーナイト23時過ぎ
平日から呑んでナイトやってられない作業員!酔いも回りそろそろ無意識になる時間に携帯がけたたましく鳴り響きます
「んだよ こんな時間に何処の女だ?もぅお店に顔出す気力はないのよ~ん」
ディスプレイに表示されたのは恭子ちゃん(仮名)
我が母親である
こんな時間に母親からのTELなどロクなことはない
皆様も家族ながらのシンパシーがおありでしょう
チーズ「もしもし」
母「チーズ お父さんが亡くなったよ」
長期入院中であった父の訃報である
あれだけ仲の悪かった両親であるが押し殺してもすすり泣く声がわかってしまう
母「病院にいるけど…今から来られる?
チ「わかった すぐ行くよ」
病院はヘンピな場所にあり交通の弁が悪いためチーズは愛車ナイト2000の自動運転で父親の元へ向かいました
到着すると重症の花粉症患者の様な母親と親戚も足を運んでくれていました
傍らには以前、猛烈な24時間戦士だった父親が…
あの姿と言うのは何者にも表現の仕様がありません 経験された方ならお分かりでしょう
病室から霊安室に移されます そこで夜勤中看取ってくださった看護師さんと共にお線香をあげます
世のほとんどのご夫婦は配偶者が亡くなる経験は1回です 先立たれた場合は
0になります
恭子ちゃんは人生で初体験をしてる最中な訳です
霊安室で悲しみに暮れている時間ですが病院からしたら退院手続きが済んだ患者さんと同じです
病院と言うビジネスに置き換えた場合二度と関わりの無いお客様には早く出て行って貰いたいのです 次のお客様がお待ちですから当然でしょう
このあとどうすれば良いのか?恭子ちゃんは途方にくれるわけですが そこは病院からの別ルートが出来上がってるのです
病院と提携している葬儀屋さん
何もお願いした訳でもないのですがご遺体輸送車とでも言うのでしょうか霊柩車から金ピカな飾りを外した様なバンが病院外に待機しております
葬 「私どもでよろしければお力になります」
時に夜中2時である
ここで「いや結構です自分でやります」など言える猛者はなかなか居ない
ハッキリ言って言われるがままに父親を連れて葬儀屋の安置所兼事務所に連れて行かれ火葬場の予約 葬儀の打ち合わせ お坊さん 棺桶のランク選び 御花の段数決め 待ち時間の食事などなど
召されてまだ数時間 しかも間もなく明け方である さっき夫を亡くし途方に暮れる未亡人には言われるがまま頷くしか選択肢がありません
チーズも始めは子供の手前黙って恭子ちゃんの横で話を聞いていたのですが
葬儀のオプションオプションまたオプション ぼったくりバーなど比較にならん位値段がつり上がっていきます
しめて総額300万円
さっき夫を亡くし正常な心理状態にない年金暮しの老女に対してやる事だろうか?
さすがに子供だが口出しして良いだろうと思い
チーズ「0ひとつ取ってくれたらお願いしますよ」
葬儀屋さんもこんなことを言われた事が無かったのでしょう 苦い顔しながら それ以降無茶な事は言わなくなり
お葬式も無事に終える事が出来ました
恭子ちゃんにも「あの時0ひとつ…」なんて言ってくれなかったら、そのまま葬儀をしていたと言っていました
人それぞれ故人に対し思い入れもあるでしょう
残された家族が盛大に見送りたいのであれば500万でも1000万でもかければよいですが
ビジネスとして生き馬の眼を抜く人々も居ることを忘れてはいけません
相場を知る
今後生きていく上で是非とも常備したいリテラシーの1つである
チーズは逝ったら海洋散骨が希望
(-_-)/~~~
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